不動産登記制度と司法書士
不動産登記制度とは、われわれの大切な財産である土地や建物について、①その所在や面積などの物理的な現況(表示に関する登記)と、②所有者の住所・氏名、抵当権の有無や内容などの権利関係(権利に関する登記)を公の帳簿(登記簿)に記載し、これを広く一般公開することにより、不動産取引の安全と円滑をはかる制度です。そして市民の側に立ってこの制度の運用を担うのが、①については土地家屋調査士であり、②については司法書士です。
ところで、司法書士が担う「権利に関する登記」は国によって義務付けられているわけではありません。つまり登記をしないからといって、罰金が科されるようなことはないのです。それではなぜ、税金を払ってまで(登記には登録免許税が課されます)、登記をするのでしょうか。民法177条にその答えがあります。
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第177条
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
登記をしなければ第三者に対抗できないとはどういうことでしょうか?典型的な例を考えてみましょう。
BさんはAさんから土地を買う契約をしました。代金も支払いました。もちろん契約書も領収書もあります。ところがAさんは1週間後、まだ登記名義が自分にあることをいいことに、なんとCさんにもこの土地の売買話を持ちかけ、契約が成立してしまいました。そしてAさんとCさんは早々に所有権移転登記の手続きを済ませ、あろうことかAさんは姿をくらましてしまいました…。
さてこのケース、BさんはCさんより早くAさんと土地売買の契約をしました。もしかするとCさんは、AさんとBさんの売買契約のことを知っていたかもしれません。さらに、同じ土地を二重に売ると約束したAさんの行為について、犯罪が成立するかもしれません。Bさんが法的に救済される余地はあります。それでもこの土地の所有権を得たのは、まずはCさんです。なぜならCさんが登記を備えたからです。
どのようなときに不動産登記をするのか?
一般的には下記ようなケースです。
◆不動産の所有者が変わったとき
不動産の売買、贈与、相続など
◆不動産を担保に融資をうけるとき、またこれを弁済したとき
抵当権・根抵当権の設定・抹消
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報酬の目安
登記内容 | 報酬(税別) | 登録免許税 |
所有権保存 | 20,000円~ | 評価額の4/1000(※1) |
所有権移転(相続・合併) | 50,000円~ | 評価額の4/1000 |
所有権移転(売買など) | 50,000円~ | 評価額の20/1000(※2) |
所有権変更・更正・抹消 | 15,000円~ | 不動産1個につき1,000円 |
登記名義人表示変更・更正 | 10,000円~ | 不動産1個につき1,000円 |
抵当権・根抵当権設定 | 30,000円~ | 債権額の4/1000(※3) |
抵当権・根抵当権移転(相続・合併) | 15,000円~ | 債権額の1/1000 |
抵当権・根抵当権移転(譲渡など) | 15,000円~ | 債権額の2/1000 |
抵当権・根抵当権変更・更正・抹消 | 10,000円~ | 不動産1個につき1,000円 |
(※1)住宅用家屋の要件を満たす建物の場合は1.5/1000(租税特別措置法72条の2)
(※2)売買による土地の所有権移転登記については15/1000(租税特別措置法72条)、住宅用家屋取得の要件を満たす建物の場合は3/1000(租税特別措置法73条)
(※3)抵当権設定の場合で、住宅用家屋取得資金の貸付の要件を満たす場合は1/1000(租税特別措置法75条)
◆報酬は予告なく変更する場合があります。