商業登記について
商業登記の制度目的は、会社を含む商人についての正確な情報を広く知らしめることにあります。この目的のため、不動産登記と異なり、商業登記の世界では登記は「義務」です。すなわち会社であれば、会社法で定められた商号や目的、個々の役員といった特定の登記事項について変更等が生じれば、所定の期間内に登記をしなければならず、これを怠ると「登記懈怠」といって、会社ではなく会社の代表者個人が過料に処せられることがあります。また過料が科されなかったとしても、法定期間内に登記がなされなかったことは登記簿をみれば明らかです。コンプライアンス重視が広く一般的となった昨今、会社にとってけっして良いことではありません。
視点を変えて、登記をすることに対する会社側のメリットを考えてみます。商取引の世界において、法定された個々の登記事項(たとえば商号や会社の代表者)についての対抗要件は、相手方の悪意(その事柄を「知っていること」とご理解下さい)であるといわれます。つまりこういうことです。あなたは長年「甲山不動産株式会社」を経営しています。ところが少し離れたところでXさんが「甲山不動産株式会社」の看板を掲げたとしましょう。もしもXさんがすぐ近くにあなたが経営する「甲山不動産株式会社」があることを「知っていた」ならば、あなたはこう主張できます。「わたしが『甲山不動産株式会社』の商号を掲げてすぐそこで商売しているのを『知っている』のに何事か!」。でもXさんがあなたの経営する「甲山不動産株式会社」を「知らなかった」ならば、あなたは何も主張できません。
さて、現実世界では相手方が知っているかどうかを基準とするこのような商取引が立ち行かないであろうことは容易に想像できます。そこで登記制度です。登記をすることで、すべからく他の人はあなたの会社の登記事項について悪意になります。より正確には、悪意であることにしてしまってよいことになります。つまり実際に知っているといないとを問わず、知っているという扱いをできるのです。先の例でいえば、あなたはこう主張できます。「わたしが『甲山不動産株式会社』の商号を登記しているのに何事か!」。
商業登記が必要なとき
例えば以下のようなとき、商業登記が必要です。
・株式会社設立→こちら、合同会社設立→こちら
・商号や目的などを変更したとき
・本店移転や支店を設置するとき
・増資や減資をするとき
・新株予約券を発行するとき、またその行使があったとき
・役員が変わったとき
・取締役会の設置・廃止、監査役の設置・廃止など、機関設計が変わったとき
・合併や会社分割などの企業再編をするとき
・特例有限会社を株式会社にしたいとき
・種類変更をしたいとき(ex.合資会社・合名会社を合同会社にするケース)
・組織変更をしたいとき(ex.合同会社を株式会社にするケース)
・解散及び清算をするとき
登記が必要かどうかも含め、お気軽にご相談下さい。
他の法人登記についても承ります。
費用の目安
登記内容 | 報酬(税別) | 登録免許税 (※1) |
株式会社設立 | 80,000円~ | 資本金の額の7/1000(計算額が15万円未満のときは15万円) (※2) |
合同会社設立 | 70,000円~ | 資本金の額の7/1000(計算額が6万円未満のときは6万円) (※3) |
増資の登記 | 30,000円~ | 資本金増加額の7/1000(計算額が3万円未満のときは3万円) |
役員変更登記 | 20,000円~ | 3万円(資本金が1億円以下の会社は1万円) |
有限会社の株式会社への移行 | 70,000円~ | 株式会社設立:資本金の額の1.5/1000(直前における資本金の額を超える部分については7/1000) (計算額が3万円に満たないときは3万円) 有限会社の解散:3万円 |
本店移転 | 30,000円~ | 同一管轄内:3万円、他管轄への移転:計6万円 |
支店設置 | 30,000円~ | 支店1箇所につき6万円 |
その他 | お気軽にお問い合わせ下さい。 |
(※1)支店所在地でも登記が必要な場合、別途、登録免許税9,000円が必要です。
(※2)登録免許税の他、定款認証費用として①認証手数料5万円,②謄本手数料(1ページ250円、3000円程度)が必要です。なお、電子定款を作成しますので、紙で定款を作った場合に貼付すべき収入印紙代(4万円)は不要です。
(※3)公証人の定款認証の手続きは不要です。電子定款を作成しますので、紙で定款を作った場合に貼付すべき収入印紙代(4万円)は不要です。
◆報酬は予告なく変更する場合があります。